煮干の原料はいわゆる青魚で不飽和脂肪酸を多く含むので、製造から流通、保存に至る管理が適切に行われないと、脂肪の酸化が進み品質が低下します。酸化を防ぐ意味で原料自体も脂があまりのっていないものが適しており、大きな魚を煮干にしないのはこのためです。また、魚を原料とするため生臭みが出やすいので加工時の鮮度が重要となります。
加工材料の鮮度は製造者の努力によって保つことができますが、脂肪の酸化は製造する際の乾燥工程から始まってしまうため防ぐことは事実上不可能です。
このため、酸化防止剤としてBHAやビタミンEが添加される場合があります。
いりこ(煮干)製造は、まず原料の漁獲から始まります。
原料は、主にカタクチイワシを原料とし、漁場は、瀬戸内海、日本周辺の近海です。いりこ(煮干)は、100%天然、100%国内自給の古くから日本人に信頼された伝統食材です。いりこ漁は、基本的に年中行われていますが、カタクチイワシの盛漁期、夏場(6月〜9月)の水温が暖かくなってからが、一年で最も盛んな時期で、良質なカタクチイワシが取れます。いりこ(煮干)漁は、漁獲したカタクチイワシを、その日に加工してしまうため、朝5時、朝早くに出発します。
卵から成魚になる確率は数百万分の1

卵から孵化したばかりのマイワシの仔魚(しぎょ:魚 の幼生。孵化して以後すべてのひれが完成するまで) は全長3〜4mmで、口はま開いていません。孵化後、 約3日で卵黄を吸収しつくした後、口が開き、餌をと りますが、最初の2日間に餌にありつけないと死んで しまいます。これを「初期減耗」と呼び、どのくら いのパーセンテージでおこるかがその年のイワシの 行方を占うカギとなるため、研究が行われています。 卵が孵化するまでに70パーセントは死に、生後2ヶ 月の生存率は0.07パーセントで、成魚になるのはこ れの数万分の1と言われています。



漁場は、漁師の長年の経験と最新の技術によ ってきめられています。漁場に着くと、休む 間もなく網を投げ込みます。漁獲法は、パッ チ網、まき網、すくい網漁法などが主に挙げ られます。漁獲法は、各地で様々な方法があ るようです。この時、この写真の引き上げが ポイントで、あまり多くすくい上げない事が 重要で、あまりすくい上げると底の魚が潰れ てしまい、腹の割れた見た目の悪いいりこ( 煮干)になってしまいます。

獲れたり獲れなかったり、イワシのナゾ

ワシ漁は、幕府のドル箱として江戸時代から大変盛んでし たが、当時から数十年単位で豊漁と不漁を繰り返すことが知 られています。この魚ほど豊凶の波が激しく、栄枯盛衰を繰 り返してきた魚は他に見あたりません。 この原因については諸説あります。まず地球の温暖化と寒冷 化が原因とする説。1930年代の北半球でのマイワシの豊漁、1940〜60年代
の不 漁は、北半球の平均気温の温暖化・寒冷化に対応しており、太陽放射のエネル ギーの強さが植物プランクトンの量を決定し、それに依存するマイワシを量を 支配しているというものです。 また、日本近海においては、親潮・黒潮の海況パターンの変動によるとする説 や、ユニークなものとしては大地震の発生とイワシの豊漁との間に関係がある のではないかという説もあります。 マイワシの豊漁期には、大地震が多く、不漁期の2、3倍もおこっており、20世 紀においては、日本全国のマイワシの漁獲量と相模湾付近でおこった地震活動 を重ねてみると、見事に一致しているとのことです。 地震にともなう海中の環境変化(イワシの餌となるプランクトンの量の増加な ど)が、マイワシの量の 変動を引き起こしているのではないかとする説です。


この写真がカタクチイワシの稚魚で美味しい いりこ( 煮干)の原料になります。 ここから、急いで港に戻ります。夏場の盛漁 期は、日差しが強く船内が熱くなるため稚魚 の鮮度を落とさないために、氷や水で冷やし ながら、とにかく急いで戻ります。 このポイントで、氷や水が足りないと、鮮度 が落ちるためいりこ(煮干)の首がもろくな ったり出来の悪いいりこ(煮干)になります。


港に着くと急いで工場に持ち込みます。港か ら工場までも氷や水で冷やします。 工場に持ち込まれると、一気に活気付きます。 直ちに水洗いされ、大急ぎでプラスチックの セイロに並べられます。並べ終わるとセイロ を段々に積み上げ、設置されたクレーンで海 水を満たした巨大な釜の中に侵けられます。 そのまま80℃〜100℃の高温でじっくり煮上 げていきます。いりこ製造は、時間との勝負 です。この作業は、1日の中で日が最も高くな る時間に合わせて行われています。


いよいよ、いりこ(煮干)らしい姿になって きました。煮上がったばかりのいりこ(煮干) を今度は、工場の広場に広げて、乾かしてい きます。 セイロを一枚一枚丁寧に並べる。いりこ(煮 干)を生産地の工場では、夏の風物詩です。 太陽の恵みと、海の潮風を体いっぱいに受け、 いりこ(煮干)の体が段々ギラギラ光ってい きます。辺りは、磯のいい香りがしています。 最近では、雨天でも製造できるように大きい 乾燥機も多く使われるようになりました。


太陽と潮風の恵みを受けていりこ(煮干)が出来上がりました。 この時点では、まだいりこ(煮干)の中に階層や網の糸などのごみが多く含まれているので、これを手作業で取り除いていきます。さらにサイズを5〜8段階に分けてサイズごとにわけ8kgごと箱詰めしていきます。この他に 菌増区探知機などの検査を経て、完成です。 このこだわりと、品質のいりこ(煮干)をぜひ食べてください。


いりこ(煮干)は年間で約く4〜5万t程生産されます。その需要は、生産に見合った分だけであり、生産地は、ほとんどの全国都道府県で作っているようです。主要生産地は、長崎、山口、鳥取、京都、広島、愛媛、香川、千葉、茨城などがあります。 野口商店では、より良質な西日本のいりこ煮干)を取り扱っています。