>トビウオ

トビウオ(飛魚)、太平洋、インド洋、大西洋の亜熱帯から温帯の海に生息する海水魚で、世
界で50種ほど、日本近海でも30種弱ほどが知られている。「トビウオ」の名前の由来は、水上
に飛び出し、胸ビレを広げて滑空することから。 九州や日本海側ではアゴの別名で呼ばれて
いる。

一般に陸地に程近い沿岸部に多い。海の表層近くに生息し、動物プランクトンなどを食べてい
る。水上に飛び出して、海面すれすれを猛スピードで滑空する。滑空時の高さは、およそ3m、
1回の飛距離は300m にもおよぶと言われている。勢い余って漁船などに自ら飛び込むことも
ある。

日本近海のトビウオと漁業、トビウオ漁は、刺網と定置網が水揚げ量の大部分を占める。

カツオ、サンマなどと同様、季節回遊をする魚で、春先から夏にかけて日本付近まで北上して
きて産卵し、秋に南下する。日本で漁獲量が多いトビウオには、ハマトビウオ、ホソトビウオ、ツ
クシトビウオ、トビウオ(ホントビウオ)などがある。種類により、漁の時期、分布が異なり、また
味や用途も違う。漁業の対象となっているこれらの種類は、いずれもハマトビウオ属に含まれ
る種類である。

3月、4月に春先に最初に関東などの市場に出回るトビウオは、八丈島などからのハマトビウオ
である。最も大型のトビウオで味もよく、クサヤの材料にも使われる。ハマトビウオは、九州南
部では晩秋に回遊してくるのを獲る。

煮干の最盛期は、10月〜12月です。それに続いて、初夏にはツクシトビウオ、ホソトビウオな
どが北上してくる。これらの種は、太平洋側とともに、日本海側にも北上し、九州北部、山陰、
北陸地方などでは、ホソトビウオ、ツクシトビウオが主に獲られる。トビウオ(ホントビウオ)、ア
カトビウオ、オオメナツトビウオ、ホソアオトビなどもこの時期から夏にかけての種類である。

これらのトビウオの種類は、市場によって様々な通称で呼ばれる。関東では、春に出回るハマ
トビウオなどを春トビ、その後の夏に出回る種類を夏トビ(あるいは本トビ)と呼ぶことがある。
各地で獲れるホソトビウオは頭部、体つきが丸いことから丸トビ(西日本・日本海側では丸アゴ)
と呼ばれ、それに対して頭部が角ばっている種類を角トビ(角アゴ)と呼ぶ。ホソトビウオとツク
シトビウオが主なトビウオである日本海側ではツクシトビウオを角トビと呼ぶが、太平洋側では
ハマトビウオも角トビと呼ぶ場合がある。愛称でトッピーと呼ぶ地域もある。

食材としてのトビウオの 旬は初夏から夏。小骨の多い魚だが、脂肪分が少なく淡白な味で、
塩焼き・フライ等にして食べる。新鮮なものは刺身が美味。トビウオを原料とした竹輪は「あご
ちくわ」と呼ばれ、鳥取県・兵庫県の特産。島根県では「(アゴ)野焼き」と呼ばれる、竹輪に似
るも製法の異なる食べ物があり特産品。

新島や八丈島ではくさやに加工される。 西日本の各地では天日や機械で乾燥処理した「アゴ
干し」が作られる。アゴ干し自体や、それを破砕した「トビ節」・炭火やガスコンロなどで焦がし
た「焼きアゴ」が、みそ汁や料理のダシをとるために使われることが多い。

また、山形県飛島でも同様に、天日干しと炭火による「焼き干し」が作られており、酒田のラーメ
ンでは、ほとんどがトビウオでダシを取っている。 九州北部等ではトビウオのダシ入りつゆで麺
が多く食べられ、長崎県や福岡県の醤油メーカーが「あごだし」を商品名に冠した粉末だし・め
んつゆ・だしパックを商品化されている。

なおトビウオの卵はトビッコと呼ばれ、珍味や寿司ネタになる。