>
キビナゴは、インド洋と西太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布している。
日本における地方名と
してハマイワシ、ハマゴ、ハマゴイ(静岡)、キミナゴ(三重)、キビナ、カナギ(長崎)、スルル(沖
縄)などがある。
成魚は全長10cmほど。体は前後に細長い円筒形で、頭部が小さく口先は前方
に尖る。体側に
幅広い銀色の縦帯があり、その背中側に濃い青色の細い縦帯が隣接する。鱗は円鱗で、1縦列
の鱗は39-44枚だが剥がれ易く、漁獲後にはほとんど脱落してしまう。海中にいるときは背中側
が淡青色、腹側が白色だが、鱗が剥がれた状態では体側の銀帯と露出した半透明の身が目に
つくようになる。
本州中部からポリネシア・メラネシア・オーストラリア北岸、西はアフリカ東岸まで、インド洋と西
太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布する。
外洋に面した水のきれいな沿岸域を好む。大きな群れを作って回遊し、海岸にもよく接近する。
主に動物プランクトンを捕食する。一方、天敵はアジ、サバ、カツオ、ダツなどの大型肉食魚や
アジサシ、カツオドリなどの海鳥類がいる。
熱帯域ではほぼ周年産卵するが、亜熱帯海域では
春から秋にかけての産卵期があり、たとえ
ば西日本近海での産卵期は4-11月となる。産卵期には成魚が大群を作って沿岸の産卵場に
押し寄せる。繁殖集団は潮の流れの速い海域に集まり、海底を泳ぎ回りながら産卵を行う。
ニシン目魚類は海中に浮遊する分離浮性卵を産卵するものが多いが、キビナゴは浅海の砂底
に
粘着性の沈性卵を産みつける。受精卵は砂粒に混じった状態で胚発生が進み、一週間ほど
で
孵化する。寿命は半年-1年ほどとみられる。西日本では夏-秋生まれのものが翌年の春に産
卵、
孵化した子供がその年の秋に産卵し、寿命を終えると考えられている。
西日本では、沿岸各地で巻き網などで漁獲される。特に鹿児島県、長崎県、高知県といった暖
流に面した地域でまとまった漁獲がある。ただし小魚で傷みが早いこともあり、漁獲地以外に流
通することは少ない。
刺身、煮付け、天ぷら、干物などで食べられる。調理法次第では骨ごと食べられ、体のわりには
可食部も多い。生の身は半透明で、小骨が多いが脂肪が少なく甘みがある。キビナゴの刺身は
包丁などを使わず、手開きで頭・背骨・内臓を取り除き、いわゆる「開き」の状態で皿に盛り付け
られる。食べる際はショウガ醤油や酢味噌で臭みを消す。